ロゴ

色政の技

色政は高岡銅器の色付けを専門としております。
銅器は錆を鑑賞する工芸とも言われていますが、
生み出されたばかりの金属を、ツヤのある風合いにも、
まるで数百年前に作られたような年季を感じる風合いにも、
ご要望に応じて変化させます。
赤色、青色、黄色といった欧米の色の枠に収まらない、
日本らしい侘び寂びを感じる「風合い」を感じてください。

高岡銅器

国の伝統的工芸品に指定されている高岡銅器は、
大きなものでは梵鐘や、銅像、
小さなものでは、仏具や花瓶などを制作しており、
生産量は現在でも全国シェアの80%ほどを占めるといわれています。
その制作工程は古くより分業制をしいており、
原型→鋳造→仕上→着色と様々な工程があります。
色政は、その最終工程である着色を専門としている工房です。

色政の特色

400年以上も続く高岡銅器の歴史の中では、様々な着色技法が生み出されてきました。
その中のひとつが古代色という手法です。
金属は時の流れと共に、空気酸化し、表面の色合いを少しずつ変化させていきます。
経年変化を遂げた数百年前の美術作品をみて、
多くの人が味のある美しい色合いと思うでしょう。
この経年変化がなせる美、時のうつろいの美を
着色技法で表現したものが古代色です。
特殊な溶液を塗って酸化具合を調整することで
金属そのものの表面を科学変化させるため、
色がはがれにくく、保存性と美術性の高い手法と言われています。

主な着色工程

色政には様々な着色技法があり、
どのような金属にどのような色表現を行いたいかにより、技法や工程の手順を変えております。
その中の一例を、以下に紹介します。

(1)下色

鋳物の加工過程で膚についた汚れや油分を取り除き、金属表面を整えた後、目的の色味に応じて、黒染液・煮色液・胆礬(たんぱん)酢などで下色を付ける。
後工程の漆を食いつきやすくする効果の他、作品の色具合に深みを出す効果もある。
金属そのものの表面を科学変化させる技法のため、金属の状態、液の濃度、気温・湿度、漬け込む時間など、決して統一化できないその時々に応じた総合的な調整が必要になる。

(2)漆塗り

生漆や色漆を薄く塗り込み、乾燥させて色味を安定させる。
漆はその後の乾燥時間や温度、また、後工程のおはぐろでじわりと色味が変化を遂げていくため、調合時に変化を見据えた上で色を決める判断力は経験でしか語れない部分が大きい。
また塗り方を変えることで作品の色味だけでなく、ツヤ感や表面の質感を表現することもできる。

(3)おはぐろ

藁刷毛でおはぐろ液(*)を作品に繰り返し焼き付けると、深みと潤いのある色味が出てくる。
おはぐろの目的は、作品保護のコーティングに留まらない。 ツヤを出すだけでなく、敢えてそのツヤを落とすこと、表面にムラやぼかしを入れることなど、色のもつ深みや動きが表現できる。
職人の感性によって、作品の内面から醸し出される色気を具現化する作業である。

(*)おはぐろは、高岡の着色職人の特徴的な技法のひとつであり、日本酒や酢、熱した鉄錆などを主原料に、半年ほど寝かせてできる液。各工房、先祖代々受け継がれた独自の秘伝ブレンドを持つ。

TOPへ